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2005 年 02 月 06 日 : ダイレクトマーケティング

松下電器産業、京セラ、日本電産など日本を代表する製造メーカーに共通するのは、営業の体制を代理店に頼らず直販とすることで大きく成長したところにある。これらの企業を研究して思ったことは、ソフィア・クレイドルも直販を貫き通すべきであるということだった。

直販をすることで、研究開発の部門以外にマーケティングの部門が必要となり、経営資源の乏しいベンチャーには一見不利なようにも思える。しかし、直販することによって得られるメリットは他に代え難いものがある。

メリットを列挙すると以下のようになる。

1. 値決めは経営の根幹ともいえることだ。製品の価格を完全に統制することができる。

2. お客様のニーズを直接ヒアリングすることができ、実際に売れる製品の研究開発を進めることができる。

3. お客様のクレームや喜びの声を直接聴くことができ、研究開発部門のスタッフたちにとって大きな励みになる。(実はこれはとても珍しいことだと思う。)

最初は、全く無名で実績も何も無い状態で始めたので、営業に関しては大変苦労した。しかし、類似製品が存在しなかったのと、実際にそれがなければ仕事が滞ってしまうお客様に少しずつ売れ始めた。

営業的に未熟なところが多かったが、マーケティングの研究を深めたり、製品そのものの機能をお客様のニーズに合わせてグレードアップすること、それから実績を積み重ねることで、次第に売れる数が増えていった。

営業というものは人的な要素が極めて強い。実際、自分の給与の何倍も利益をセールスであげることのできる営業マンは、非常に少ない。だから、そういうトップセールス関連の書籍が山のように出版されている。

なので、ソフィア・クレイドルでは、インターネットによる直販にこだわり、マーケティングのノウハウをWebのシステムとしてプログラミングしている。これであれば安定して、年中無休で世界市場に向けての営業が可能だ。勿論、そのための研究や努力は必要だけれども、それに楽しみを見出すことができる。

問題は、最初から売れるわけではないので、その立ち上げをどうやって乗り切るかが重要であろう。例えば、製品に不足する機能があれば、それを強化するなどの取り組みをお客さまと共に進めることも大切であろう。

事業の立ち上げというものはとても地道な仕事である。しかし、積み重ねることでいつしか効果が現れてくる。最近は意外な国々からも問い合わせが来るようになった。

2005 年 02 月 05 日 : 起業の歯車

自分で努力して得た 1 万円と他人からもらった 1 万円とではどちらに価値があるだろうか?どちらを大切にするだろうか?

答えは明らかだが、それを理解しているのと、実際に行動するのとでは違いがあるらしい。生活の中でも起業においても同様だ。

株主から預かったお金を元手にして、社会的に意義のある仕事をなし、元手を上回る収益を上げることが経営者というものの仕事の一つであると思っている。

会社のお金をいろんなことに投資する際に、そのお金の価値をどの程度重く受け止めているかで、結果は大きくことなるのではないだろうか。だからこそ、ベンチャーで成功している企業は大企業をも遥かに上回る ROI (株主資本利益率)の数字を残しているような気がする。

いろんな方々から国の助成金への申請を勧められる。その手続きが煩雑で面倒という話もあるが、これまでに助成金を申請したことはない。できる限り、助成金に頼らない経営をしたい。棚から牡丹餅のようにして、国の助成金を受け取ることで、お金に対する感覚が麻痺することを危惧するからだ。

これまでに蓄えたお金、それから創意工夫することでお客さまから商品の対価としていただいたお金の値打ちというものがよく理解でき、活きたお金の使い方ができる。

ベンチャーの場合、10 年後も存続している会社は 10 社に 1 社も無いくらいだという。だから大切なことは如何にして経営判断ミスを無くすかにあると思う。経営者のお金への考え方が甘かったばかりに経営がおかしくなる会社が多いような気がする。自ら苦労して稼いだお金の方が、他者から与えられたお金よりもよく理解でき、そのお金の使い方もよく分かってくるのではないか。

国の助成金の申請を代行することを商売にしている人もいるらしい。この本末転倒な事実を聞いて、こんなところでも税金の無駄遣いがされているんだ、と残念に感じた。(真に必要としているベンチャーに助成金が届いていないことが懸念される。)これはまた、助成金の申請がややこしく報われない労働になっているという事実の反映でもある。

それよりも、助成金制度を利用せずに、利益を出している創業間もないベンチャーの法人税、消費税などを一部免除するような制度を創るのはどうだろか。そのほうが、助成という起業の歯車になるだろう。

2005 年 02 月 04 日 : エッセンス

事業を成功裡に導くために最も大切なのは、絶対にこれだけは外せないポイントを確実に抑えることではないだろうか。即ち、その事業の本質をよく理解しているかどうかで、その事業の行方は大きく左右される。

至近な例を挙げるなら、レストランであれば「」、航空会社であれば「安全」、ホテルであれば「快適」等など、それぞれの事業にとって絶対に外せない必須要件があると思う。

ソフィア・クレイドルは携帯電話向けソフトウェアの研究開発事業を展開している。この分野のソフトウェアテクノロジーの本質は、小さく、速く、使いやすく、しかも安くといった相矛盾する内容のクオリティをバランスよく総合的に極大化するところにある。

過去の歴史を遡れば、IT 業界というのは、大が小ではなく、小が大を飲み込むというような逆転の構図で描かれる世界だということがわかる。「 IBM の大型汎用コンピューター」をいわば踏み台ににした「マイクロソフト&インテルのパソコン」しかりである。

携帯電話サイズの小さなコンピューターで数多くの実績を残したソフトウェアテクノロジーが、パソコンやサーバー、そして情報家電のようなプラットフォームでも利用されるのは十分に有り得る話であろう。

私たちはそういった点に巨大なビジネスチャンスを見出そうとしている。そのためにも、携帯電話向けソフトウェア業界における事業の本質を抑えることは、最初に着手すべき最重要課題だった。

ベンチャーの場合、圧倒的に経営資源が限られるだけに、どこか一点に集中特化する必要性に迫られることも多い。その時、本質からずれた事業展開をすれば、目も当てられない悲惨な事態に陥ってしまう。逆に、肝心要の外せないところだけはしっかりと抑えておけば、少々やり方が拙くとも後から軌道修正できる。それくらいに本質を見抜くことはベンチャー起業家にとって欠かすことのできない必須スキルだ。

意外なことだが、日本の教育制度では、こんなにも大切な本質を捉える能力を育てるための訓練が等閑にされていると思う。

例えば、日本の学校では、あらゆる教科で万遍無く良い点をとれば、所謂、一流大学に入学し、優等生として卒業することができる。

だが、現実の世の中では、オールラウンドにそこそこできるんじゃなくて、ある特殊な能力や才能で突出した結果を残すような人こそが評価されている。いま、時代はそのように変革されつつある。例えば、大リーグで活躍しているイチローは、野球というジャンルでは誰も太刀打ちできないほど突出し、超一流のプレイヤーとして世界から絶賛されている。

学校教育で最も大切なのは、子供たちが、自分に適した、それぞれの人生の目標や目的のようなものを発見し、その道を着実に歩めるように、後押しすることではないだろうか。しかし実態は、高校や大学への進学を前提とした、画一的な教育しかなされていない学校が大半だ。

いまの学校の試験の評価制度も私にはおかしく思える。点数が高ければ良いということで、試験の時は易しい問題から順番に解答していった方が制限時間内では高得点が獲れてしまう。面白そうだからといって、最も難しい難問から入ってそれを解くだけで終わったら、それこそアウトだ!

こんな教育を受けていると、ついつい枝葉末節に足をすくわれて、ややこしくて面倒なことは常に後送りというジレンマに陥る。そんな癖がついた人間に育ってしまうのではないか。難しいけれども真に重要な問題が後回しになり、目に見えない努力が評価されなくなる。そして、ある瞬間に誰にも訪れる、素晴らしき人生を生きるための貴重なチャンスをみすみす見逃してしまうのだ。

ベンチャー起業においては、瑣末なことに囚われてしまうと、それだけで限られた資源を消耗してしまいかねない。そんな状態が続くと、肝心なゴールに辿り着く前に終わってしまう。本当に大切なポイントだけに絞ってやらなければ、経営破綻してしまう可能性が高くなるだろう。

2005 年 02 月 03 日 : ガンダム ファクト ファイル

いよいよ2月15日で、期間限定、起業家100人挑戦日記もフィナーレを迎える。過去の日記を振り返ってみると、「最近、これにはまってます」というカテゴリーの日記を一つも書いていないことに気付いた。折角用意されたカテゴリーなので、今日はこれについて。実際のところ、一番はまっているのは仕事かもしれないが…。

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毎週、週刊ガンダムファクトファイルを買い続けている。最近は、このBlogとかの仕事もあって忙しく、パラパラとめくって読むくらいしか時間が取れない。

大学受験の頃かな?テレビで放映される『機動戦士ガンダム GUNDAM』だけは万難を排して毎週欠かさず観ていた。

15歳になる友人にして外部ブレインが一人いる。仮にS君と呼ぶことにしよう。10年以上も昔の頃から、S君からはいろんなことを教えてもらってきた。一緒に遊んできた。彼もガンダムの大ファンであり、物心ついた頃にはガンダムと共に育っていた少年だ。ただし彼の場合、ガンダム・シードとファースト・ガンダムが同時にリアル・タイムである。

無類の読書家で、本を読むスピードは私よりも3倍くらいは速いのではないだろうか。いまでは読み尽くしてしまって、中学校の図書館で借りる本はないらしい。といってはなんなのだが、経営者の必読書ともいわれる、司馬遼太郎氏の「項羽と劉邦」をプレゼントした。3回は繰り返して読んだらしい。(私はまだその途中だ。)ブックオフの105円の本を買ったとしても直ぐにお小遣いが尽きるという。だから、週刊ガンダムファクトファイルを毎週買えないとか。

私もガンダムファンであり、彼の心境はひとごとではない。それで、私がそれを買って、彼に譲り、彼からは中学とか塾で流行っていることを教えてもらうという次第。(これはたぶん、大人買いとは言わないだろう…)過去に、彼からはコロコロコミック、ミニ四駆、ポケモン、ハイパーヨーヨー、遊戯王、デジモン、三国無双など、さまざまな子供のエンターテイメントを学んできたものであった。勿論、アニメ雑誌も購読していて、最近ではテレビのハガレン終了を非常に惜しんだ。

その「週刊ガンダムファクトファイル」は、現在18号(かな?)まで出ていて、100号まで続くらしい。それを見てしみじみ納得したのは、ハマってしまう要素を自ら見出せたという点だろう。顧客となって商品を習慣的に買うことで、はまってしまう心理を久々に味わえた。

このお正月、S君が遊びにきたときの話。ベストセラーのビジネス書ならほとんど全て揃っている、私の書棚にあった本の中から、「どん底からの成功法則」「あなたもいままでの10倍速く本が読める」「眠りながら成功する」「マンガ 孟子・大学・中庸の思想」「マンガ 孫子・韓非子の思想」「マンガ老荘の思想」などの本にいたく興味を持ちセレクションしてそれらを持ち帰った。起業と中国に興味があるのかもしれない。

最新号までの週刊ガンダムファクトファイルのほうを大事に抱えていたけれど。

来週が高校受験なんだけれども、きっと大丈夫だろう。健闘を祈っている。受験する高校は図書館に4万冊以上もの蔵書があり、それが大変魅力だとか…(笑)

受験生の皆さん、健康に気を付けて焦らずがんばってくださいね。それぞれの道へ踏み出せるよう。

〜彼の妹におしえてもらったw-inds.の「夢の場所へ」や「Long Road」を聴きながら〜

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2005 年 02 月 02 日 : 世界デビュー 〜 SophiaFramework〜

米国のテクニカルライターから英文のメールが届いていた。それによると、IT 技術者向けの著名なポータルサイト(http://developer.com)でソフィア・クレイドルのソフトウェア( SophiaFramework )を記事として紹介したいとの打診だった。

SophiaFramework は、3 年というベンチャーにしては長い歳月を費やして、米国クアルコム社の次世代携帯電話チップ上で稼動する、汎用的なアプリケーションプラットフォームとして製品化された。

最大の特長は、次世代携帯電話の組み込み系アプリケーション向けに、GUI フレームワークを有する、C++ オブジェクト指向プログラミングの開発環境を世界で初めて提供した点にある。

この技術革新がテクニカルライターの関心を惹いたようだった。

*SophiaFramework 製品マニュアルの英訳を急がないと…。1000 ページくらいあるのでけっこう大変。とりあえず、今日、日本語のSophiaFramework ページの最新版を急いで英訳した。

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2005 年 02 月 01 日 : オリジナリティ

受験勉強なんていう例外もあるのかもしれないが…。多くの人は学校を卒業するまでは比較的自由にのびのびと好きなことをして楽しく過ごす。しかし、社会人として一歩世の中に踏み出した、その瞬間から次第に笑顔が無くなってゆく人が多いのではないだろうか。

旧態依然とした大きな組織ほど融通が利かないものだ。その組織の都合に合わせて人が働いているという、本末転倒な矛盾がよく発生している。そんな事情があるから、仕事に生き甲斐を見出せず、現代社会にも完全燃焼できない、ニートやフリーターといった若者が増えているのかもしれない。

けれども充実した人生を送っている人がいるのも事実だ。そんな人たちはきっと自分の好きなこと、得意なことができる恵まれた環境にあるのだと思う。

そんな天職というものに就いて生涯にわたってずっと楽しく愉快に暮らせれば、どれほど素晴らしいことか。そんな希望を描いて、私はソフィア・クレイドルというベンチャーを起業した。だから、原則としてソフィア・クレイドルのスタッフたちは、好きなことや得意なことを仕事にする。そうすれば、きっとそこから生まれる商品やサービスは人の心に響くに違いない。これからの未来は「感性」というものが主役になる時代だ。これこそが、ソフィア・クレイドルという会社のレゾン・デートル、存在理由でもある。

実際のところ、それでちゃんと生活できるのかという疑問が生じるかもしれない。だが、経営者の責任は、それが確実に実現できるように、慎重でありながらも大胆に事業の領域を定めて計画し展開することではないだろうか。勿論、さまざまな障害や問題も発生するかもしれない。そんなことも楽しむようにできなければベンチャー起業は適わない。

いろんな壁を乗り越えるたびに、それだけ自由を獲得し、達成感や充実感といったものが増してゆく。自分自身の成長を実感し、確かめながら限られた貴重な人生を生きる。私たちはそんな生き方の価値感を大切にしている。

趣味でも、スポーツでも、仕事でも、どんなものでもよい。寝食を忘れて心の底から没頭できるものに打ち込んでいるときの自分を想像してみて欲しい。何の苦痛も時間の経過も努力しているとすら感じない。やりたくないことをやらされているときの対極の姿がそこにあるはずだ。

京セラという会社は 1959 年に稲盛和夫氏によって創業された。しかし、国内では、それ以来 40 年以上にわたって、京セラに匹敵する或いは凌駕するくらいの、偉大なベンチャーは誕生していないのではないだろうか。

その意味において、稲盛氏の経営哲学というものは極めて貴重であり、それを 21 世紀風にカスタマイズできれば、そのベンチャーは大いに発展できる余地があるのではないかと考えている。

いろいろと勉強した結果、その経営の神髄は経営の原点 12 ケ条にあると思った。この 12 か条の中で、最も注目すべきなのは第 4 条ではないだろうか。

第 4 条 誰にも負けない努力をする

この上なく含蓄のある言葉のように思える。多くのベンチャー起業家は全財産を己の事業に賭けるわけだから、当然、サラリーマンの何倍も、何十倍も、真剣に必死に努力する。しかし、現実問題として 10 年以内に 94 %のベンチャーは経営破綻しているのだ。この事実から分かるのは、絶対に成功するという、強靭な精神力や信念、気概を持って真摯に努力をしない限り、無限に成長しつづけるようなベンチャーを創り得ないということだろう。

本能的にごく自然な振る舞い、即ち、努力を努力と感じないレベルにまでに昇華させないと…。言うまでもなくこれは非常に厳しい事態だ。

しかし、自分の好きなこと、得意なことならば、いつでもどこでも、全く苦にならずにできるというものだ。自分の特性、或いは才能を潜在的なものまで含めて大いに発揮することもできよう。そんな風にしてごく自然に仕事ができるか否かが、大成功できるかどうかの分岐点になるような気がして仕方ない。

2005 年 01 月 31 日 : スペシャリティ

知名度と実績は勿論ゼロ、「ヒト」、「モノ」、「カネ」といった経営資源も最低最悪の状態でスタートするのがベンチャー。

創業初年度に破綻するベンチャーは果てしなく多い。その壁を乗り越えれば比較的スムーズに軌道に乗ってゆく。

最初のスタートは何よりも肝心だ。

製品やサービスが売れなければ、キャッシュは入ってこない。無収入状態が続けば、やがて時間の問題で経営が回らなくなる。だから売れる製品やサービスをどうやって創るかという視点は絶対に外せない。

最初はゼロから、下手をすればマイナスからのスタートなのだ。人びとから圧倒的に支持されるような製品やサービスでない限り、大苦戦は免れない。

そのためには、利用する人の立場に立って、常に感動的な「新しい満足」を創造するというスタンスを崩さないことだろう。

資源に限りのあるベンチャーだから、最初は必ず製品やサービスのどこかに多少難はあるものだ。しかし提供している会社が世界広しといえどもそのベンチャーしかないとすれば、自然にトップになる道筋ができる。

オンリーワンにしてナンバー 1 な製品やサービスを採用してもらって実績を積み重ねる。そうして商品やサービスにも磨きがかかってゆく。ポジティブなフィードバックが得られるループが形成され、加速するようにして製品は良質化される。製品やサービスは次第に評判を高め、飛ぶように売れてゆくという流れになる。

「新しい満足」って一体全体どんなものを指していうのだろうか?

  • 初めて飛行機に乗ったとき
  • 初めて大ファンのアーティストのライヴに参加したとき
  • 初めてワールドカップサッカーを観戦したとき

人によってさまざまだろうが、日常生活において、初めて体験し、感動することってきっとあると思う。たぶん、そんな感動に匹敵するようなものであれば、ベンチャーの製品やサービスはスムーズに受け入れられてゆくだろう。

人のフィーリングに合致し、「感動」というようなエモーショナルな言葉でしか表現できないけれど、感激できる。そんなエッセンスがあれば欲しい。

例えば、ソフィア・クレイドルの携帯アプリ圧縮ツール SophiaCompress(Java) の場合。

この技術を利用して開発された携帯ゲームは、公式コンテンツの人気ランキングで上位を独占している。それらの携帯ゲームは、SophiaCompress(Java) によってサイズが半分になるので、これを利用していないものと比較して、圧倒的な競争優位の条件を獲得している。携帯アプリの場合、サイズ容量の制限があって、定められた容量に、どれだけクオリティの高いコンテンツを詰め込めるかで雌雄が決せられてしまう。

SophiaCompress(Java) があれば、同じ容量でも内容的に 2 倍のものを創ることができる。なので、その携帯ゲームは最終利用者に圧倒的に支持され、歓ばれることになるようだ。

携帯アプリのサイズを半分にするという単純明快な製品、サービスであるけれど、このことによって最終利用者に感動的なゲームを届けることが可能となる。

そういうスペシャリティこそが、SophiaCompress(Java) という製品のアイデンティティだ。

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2005 年 01 月 30 日 : 知性の増幅器

昨日、NHK 教育テレビの ETV 特集で、

これからの科学、これからの社会〜京都賞歴代受賞者からのメッセージ〜

と題した、過去に京都賞を受賞した偉人たちのインタビュー番組を興味深く観ていた。

そのなかでも惹かれたのは、過去にこの日記でも紹介したことのある、「パソコンの概念」を考案した、アラン・ケイ氏の発言だった。

アラン・ケイ氏は、「パソコンは人間の知性を増幅するためのもの>であり、人間の創造性を高める道具、メディアである」と発言していた。彼によれば、いまのパソコンはそのような方向からずれたポジションにあるらしい。人びとはパソコンを手に入れても、日常会話のようにプログラミングをしてコンピューターを自由自在に扱えていない、と。

それで彼は、日常会話のようにしてコンピューターと話せるプログラミング言語として、「Squeak」を考案した。これなら、小学生のような子供でも簡単にプログラミングができる。だから、コンピューターの中に自分の思いをプログラミングし、表現することで、自己の創造性を飛躍的に伸ばせるというわけだ。実際、テレビで、子供たちは、自然に言葉を話すような感じで、粘土細工のようにプログラミングを楽しんでいた。

こんなことがもっと具体化すれば、パソコンは人に秘められた、無限の創造性を顕在化させるための道具・メディアとしてもっと活用されよう。そして、私たちの未来の生活は、もっと希望を抱ける豊かなものへと発展してゆくであろう。

飛行機や電車が人間の脚力を補い、増幅したように、パソコンというものは人間の知性を増幅するものである、という捉え方は、新たないろんなアイデアをもたらしてくれる。それがナチュラルなものであれば、いつの間にか、自ずと良い方向に実現されてしまうから不思議だ。その考え方は、自然の法則に逆らうものでなく、誰にも受け入れられるものなのだろう。

ayuは曲の作詞を携帯電話でしているらしい。また、携帯電話で本を書いている作家もいると聞く。携帯電話の特性から、いますぐ新鮮に、その時の思いを綴ることによって記録できるところが有利に働くのかもしれない。

その話を聴いたとき、携帯電話もパソコンと同様、「知性の増幅器」として、いつの間にか進化し始めつつあるように思えた。

携帯電話の進歩は目覚しい。通信速度もブロードバンド化が進んでいる。液晶画面も高精細度になり、ハイビジョンテレビのように鮮やかに映し出されるようになってきた。弱点であった入力方式も、音声認識や手書き認識のような技術が急速に発達してきている。

以前の日記で、アップルコンピューターの創業者 スティーブ・ジョブズ氏の言葉、「Creativity is just connecting things.(創造性とは物事を関連付けて考えることに他ならない。)」を紹介した。私たちは、携帯電話によって人びとの創造性を高めることに大きな夢や希望、ビジョンを抱いている。

携帯電話の液晶画面をいくつかのウィンドウにスプリットして、複数の情報を別々のウインドウに同時に表示できるようなソフトウェアテクノロジーをこれまでに研究開発してきた。

この意図は、次のようなところにある。

携帯電話がブロードバンド化することで、通信料金は定額制になり、人びとは世界中から、身近に、多種多様なさまざまな情報を選択的に受信したり、自ら情報発信する時代が訪れることになるだろう。

そのときに、携帯電話上のスプリットされた複数の画面に、ニュースや音楽、スポーツ、学校の授業、映画、会議、経営者の講演などが同時に映し出されて、利用者はその時の気分や意志で観たり、欲しい情報を選択しつつ、また、さまざまな情報を組みあわせることで、自分のフィーリングに合った、新たな充実した生活が育まれるのではないか、ということだ。

通信速度のブロードバンド化、通信料金の低価格化、液晶画面の高精細度化…。見知らぬ土地から発信された、その情報がスプリットされた携帯電話のウインドウに映し出される。その瞬間、あるアイデアがインスパイアされる時代。もうすぐ、そんな暮らしが始まる。

その時、創造性という観点からも、人びとの生活は次の新しい時代へとシフトしてゆく。


コンピューターが奏でる音楽は、人間の知性やアイデアなのです。”(アラン・ケイ

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2005 年 01 月 29 日 : グランドデザイン

いまから 20 年ほど昔の話。IBM は世界一多くのノーベル賞受賞科学者を抱え、コンピューター業界の巨人として君臨していた。IBM ですら、当時「マイコン」と呼ばれていた「パソコン」が、今日のような勢いで、企業や社会の情報システムとして至るところで利用されてゆくその隆盛を全く予測できなかった。

その隙間に大いなるビジネスチャンスを見出した、いまや誰しもが知るところのマイクロソフトやインテル、アップルなどのパソコン関連ハイテクベンチャーは、20 年間で IBM に代わって起業家精神を多いに発揮し、パソコン関連事業を築き上げ、過去の歴史には例が見つけれないほどの猛スピードで急成長を遂げた。IBM と出会う以前、風前の灯火に過ぎなかったマイクロソフト銘柄の時価総額は、いまやIBMのそれを遥かに凌いでいる。

実際のところソフィア・クレイドルでも、インターネット経由で世界に向けて情報発信し、注文を受け付けているシステムは、一台のパソコンに過ぎない。しかし、それは欠かすことのできない存在、社内で唯一の営業マンだ。年中無休、一瞬たりとも休むことなく勤勉にプログラム通り素直に働いてくれている。

今日、世の中の大半の情報はパソコンによってコントロールされる時代となった。最近では、音楽や映像、ゲームといったコンテンツと称されるものまで、インターネット経由でパソコンへネット配信される時代となった。

それくらいに、かつてオモチャといわれたマイコンが、IBM の名が霞むほどに、社会を支えるインフラストラクチャーと成って世の中を席捲している昨今だ。

いまや巨大企業と化した、そんな米国ハイテクベンチャーのような成長曲線を描こうとするならば、10 年、20 年単位でのグランドデザインを構想することがきっと必要なのだろう。

IBM の汎用コンピューター、(現在は HP に吸収合併されている)亡きデジタルイクイップメントのミニコンピューター、サンマイクロシステムズのワークステーションなどの高価なコンピューターで処理されていた大抵の仕事は、今ではずっと安価なパソコンでも十分に可能だ。パソコンは、誰でも手軽で使いやすいコンピューターへと進化している。

値段が安く、高性能、しかも使いやすい。これが近年パソコン業界が爆発的に伸びた最大の理由ではないだろうか。

もともと、パソコンというものはハードウェア的に貧弱なものであった。その弱点をソフトウェアでカバーすべく、数多くの天才プログラマーたちが、貧弱なハードウェアでも利用可能なように、ソフトウェアの根幹である論理、アルゴリズムを考案し実現した。その結果、ハードウェアの進歩の影響があるにしても、パソコンは実用的なモノへとシフトできたのだ。

たとえ 10 年かかろうとも、これと似たような流れで、携帯電話サイズのコンピューターに一種の歴史的なムーブメントを起こしたい。毎日、アントレプレナーシップという志を忘れないようにしてプログラミングに没頭している。

携帯電話のような小さなコンピューターが、将来的にはインターネットサーバーになることもあり得る話だとして、本気でソフトビジネスを展開している会社は、国内では少ない。

パソコンと比べればハードウェア的には桁違いに劣る、携帯電話のようなコンピューターでも、ソフトウェアによって、人間にとって快適に動作するものへと進化するのである。しかも、それはコンピューターよりも、もっと人間の生活に寄り添ってくれる何か新しいデバイス、マシンである。

パソコンのハードウェアも、昔と比べれば格段と進歩している。しかし、現在起こっていることが稚拙なプログラミング技術に基づく、効率の悪いソフトウェアであるならばどうだろう。ハードウェア資源の多くを無駄使いしているような、ソフトウェアが散乱している景色は哀しくないだろうか。

携帯電話では、ハードウェアの制約上、それが許されない。だから、高度なプログラミングテクニックを駆使することで、ハードウェア的に貧弱であったにしても、パソコンを越えるような凄いソフトウェアを創られる可能性を秘めている。

現在、パソコンで為されている仕事が携帯電話でも代替可能になれば、それに必要なコンピューター資源は 1 桁減ることになるだろう。どこにでも手軽に持ち運べる、携帯電話のその特性は、他のものに変え難いメリットだ。

2005 年 01 月 28 日 : スケーラビリティ

大企業でサラリーマンをしていた頃、組織図には必ずヘッドカウント、所謂、頭数が記載されていた。部長や本部長といった、組織のトップは、そのヘッドカウントの数字を競い合って、自分たちの権力や権威というものを誇るかのようだった。

IT 用語の「スケーラビリティ」とは、利用者が増加しても、システムへの要求や負荷が増大したとしても、そのコンピューターシステムは柔軟に対応できる、ということだ。

これから、21 世紀の企業経営において、「スケーラビリティ」という考え方が重要になってくるのではないだろうか。65 歳定年制、社会保険料の負担増等など、社員数が多いことが必ずしも企業の好業績に直結せず、寧ろマイナスに作用しかねない傾向にある。

だから、たとえ売上が増加基調にあるにしても、人材採用はできるだけ控え、現有の人員で増加した分の仕事をこなす術が重要になってくるだろう。どのように頑張ったとしても、処理しきれない段階になって初めて、新たに人材を採用するというのが良さそうに思えてくる。

ソフトビジネスの場合、外注など外部からの仕入れをしなければ、経費や製造原価に相当するものの大半は人件費である。だから、注文が増えたとしても人の数はそのままで済むような仕組みを創っておけば、売上の増加以上に利益はグーンと伸びる続けることになる。

ベンチャーの場合、急成長している時に一気にたくさんの人材を採用するところが多い。ベンチャーが手掛けるのは新興ビジネスであるだけに、競争は激しく、またブームやトレンドにも左右されやすい。形勢が不利になった時にどのように凌ぐかというのが一つの分かれ目になろう。

経営手腕に秀でたベンチャー起業家は、どんな状況にあろうとも持ち前の経営センスでその難局を容易く乗り切れるだろう。しかし、そのような起業家はむしろ稀有な存在といえよう。大抵、自分の力を過信するところに、落とし穴が虎視眈々と待ち構えているものだ。

増え始めれば最早止めることができないほどの、ポジティブなフィードバックで稼動する経営システムを予めプログラミングしておけば、その分、のりしろの範囲も広く、少々の社会情勢や業界環境の変化も吸収できる。

そうすることで、スタッフたちの生活は豊かになり、職場の環境も働きやすくなり、未来の新規ビジネスにも余裕をもって楽しく愉快に臨めるのではないだろうか。

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