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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : Venture Spirits

2005 年 11 月 04 日 : 天頂へとつづく滑走路

今日は昨年のミスチルの"シフクノオト"を聴きながら、いろいろと未来の構想を練っている。

このアルバムでお気に入りは"天頂バス"という曲。

印象的なフレーズは

  天国行きのバスで行こうよ
  揺れるぞ 地に足を着けろ
  己の感覚と交わした約束を
  果たすまで降りはしないぜ
  どんな暴風雨が襲っても
  全力疾走で駆け抜けろ
  僕らは雑草よ
  でも逆の発想を
  この胸に秘めているよ
  このバディーに秘めているよ
   ( 作詩 : 桜井和寿 )

という部分。( リズムから詩の雰囲気が伝わってくる名曲だ )

世界の頂点に立とうと志すならば、秘めたる覚悟は欠かせないと思う。

  

2005 年 11 月 03 日 : アンチテーゼ

大企業に勤務していた頃の素朴な疑問が今のベンチャービジネスに繋がっている。

何万人もの社員がいる大企業には、標準の 10 倍以上の成果をあげる有能な社員がいる。大企業で勤務した経験があるのなら、その事実に異論を唱える者はいないだろう。

それではそんなにも有能な社員は標準の 10 倍以上の年収を得ているだろうか。状況は変化しつつあるけれども、大企業ほどそんな会社は噂にすら聞かない。

同様に急成長しているベンチャーが 1 年間で社員数が 3 倍に伸びたという話はよく聞く。しかし 幹部の間ではあり得るけれど 1 年間で社員の平均年収が 3 倍になったという話はあまり聞かない。

多くの人が何となくおかしいと思いながらも、実際には行動しない。そんなニッチにベンチャーのビジネスチャンスは隠されている。大切な経営に関する指標は社員 1 人当たりに換算したものではないだろうか。

人材は世界中から募るが、滅多に募集しない。何故なら 1 人で通常の 3 倍の仕事をするのならば 3 倍の年収が得られるような会社にしたいから。注文が 3 倍になっても仕事をする人数が以前と同じなら簡単な算数ですぐに計算できる。そんな会社が理想。

好きな仕事ができて、成果に見合う収入が得られるようにしたい。そうであれば、数は少なくともその分だけ気心の知れた素晴らしい逸材はきっと集まるだろう。

普通よりも 10 倍仕事ができる人が 10 人集まるというのは何を意味するのか?

それは 10 人 × 10 倍 = 100 人分の仕事が 10 人でなされるのではない。その 100 の 2 乗である 1 万人分の仕事が 10 人でなされる感じだと思う。

  

2005 年 10 月 26 日 : 瞬発力

世界にひとつしかない何か最高のものを創り出そうとすると、そこにはある種の壁が必ず立ちはだかる。その壁を乗り越えない限り、そんなに素敵なものを創造する夢なんて叶いはしない。

自分が突き当たった壁を乗り越えるには、その壁の高さに応じての瞬発力が必要だ。実際のところ、それを鍛えるだけの話なのだけど大抵の人はその道を避けて通る。

肉を切らせて骨を絶つという言葉がある。真に偉大なことを成し遂げようと志したとする。真剣で戦うときに勝利するためのこの秘策はこの場合も有効だと思う。

自分を極限の世界にまで追い込んで、人生を賭けるだけの価値ある仕事に没頭してみるとよい。それは厳しい修行かもしれないが、自分の人生における最高傑作を生み出す上では避けて通れない道のような気がする。

人生における壁は階段みたいな形状をなしている。渾身の思いを込めた瞬発力で一段一段その階段を登り上がるたびに、自己実現の真髄を実感できるのかもしれない。

  

2005 年 10 月 10 日 : ハイテクベンチャー

マイクロソフトシークレット―勝ち続ける驚異の経営」(日本経済新聞社)に、マイクロソフト( 1975 年創業)の 1975 年から 1995 年までの成長の軌跡が記載されている。その中でも注目すべきなのが最初の 5 年間のデータではないかと思う。最初の 3 年間の数字を見る限り、ごく普通の零細中小ベンチャー企業に過ぎない。しかしマイクロソフトはいまや押しも押されもせぬ時価総額世界 No. 1 の大企業である。

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年度(年)  売上高(千ドル)   伸び率(%)   従業員数(人)
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 1975                     16                     −                         3
 1976                    22                    38                          7
 1977                382                  636                        9
 1979             1,356                  256                      13
 1980              2,390                 76                      28
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※ 売上の伸びと比較して、従業員数の伸びは著しく低い。

一般に、マイクロソフトオラクルアップルなどハイテクベンチャーの場合、ひとつの製品の研究開発に 18ヶ月、そしてマーケティングに 18ヶ月、少なくとも計 36ヶ月の時間がかかるといわれる。マイクロソフトもその例に漏れず、創業 4 年目以降、破竹の勢いで業績を伸ばしていった。

ハイテクベンチャーの場合、事業の着想を得てからそれが現実のものとなるまでに、少なくとも 36ヶ月の期間が必要であると想定して起業するのが重要なポイントだと思う。気長な話かもしれない。ネット系の IT ベンチャーであれば 36ヶ月もあれば株式上場すら不可能な話ではない。しかしハイテクベンチャーでは 36ヶ月経って初めてそれが事業として成立するか否かが実証されるといった状況なのである。

しかも 36ヶ月経つまでに事業が立ち行かなくなるベンチャーも多い。また持ちこたえたとしても、飛躍的に成功を遂げるものは指折り数えるほど珍しい存在でしかない。一方、ネット系 IT ベンチャーの場合、結果は数ヶ月で出るものも多く 12ヶ月もあれば概ね結果は見えてくる。創業して 36ヶ月以内の株式上場も全然夢ではない。

そんな背景もあってか、世界マーケットを視野に入れたハイテクベンチャーを志す起業家が周囲に極めて少ないと感じる。時間を要し成功率も低いのであればそれが最大の参入障壁になるのだろうか。現在の事業を創めてまもなく 4 年になろうとしているがいまだにソフィア・クレイドルと競合するベンチャー企業は現れていない。

ネット系 IT ベンチャーを創めて手っ取り早く稼ぐのもひとつの手段であり、実際のところその道の選択もあり得た。敢えてその道を選ばなかった。その理由ははっきりしている。客観的な成功確率は低く時間はかかるかもしれない。けれども自分の思いが実現したとすれば、マイクロソフトのごとくテクノロジーは世界中にひろく影響を及ぼすことができるだろう。それは人生において一度経験できるかどうかといえるほどのワクワク&ドキドキ感なんだと思う。

  

2005 年 09 月 23 日 : ランニングハイ

9月23日金曜日。

今日になって、MR.CHILDREN の 1 年 5 ヶ月ぶり 12 枚目のアルバム"アイ ラブ ユー"を入手したので早速聴いてみた。(歌詞カードのデザインがユニークで美しかった)

そのなかでもお気に入りの曲は"ランニングハイ"。

   息絶えるまで駆けてみよう
   恥まき散らして
   胸に纏う玉虫色の衣装を見せびらかしていこう

ベンチャー起業にもこんな雰囲気がないと何事も成就しないのではないだろうか。

思うままに信じるままに全力を振り絞って駆ける軌跡の、その先に輝ける何かがあると信じている。それに心地良さを感じる。

全力疾走は最初の助走段階では耐え難い苦しさがある。しかしそれを乗り越えれば"ランニングハイ"の世界だ。新しい出来事の発見に爽快感を得てポジティブな気持ちで。

  

2005 年 08 月 31 日 : 期待値

X1, X2 , X3,…, Xn からなる事象Xを考える。事象 Xi の値を xi とし、事象 Xi の起きる確率を pi とした時、Xの期待値 V は次の数式で定義される。

V = x 1 · p 1 + x 2 · p 2 + x 3 · p 3 + … + x n · p n

最終的にはベンチャーで働いても大企業で働いても人生の期待値 V は同じような値に収束するような気がする。マクロ的にみればそんなところであるが、ミクロの視点では天と地くらいの差が実際にはある。

その違いはどこかといえば、結果として観測される事象 Xi の確率 pi が取り得る値である。大企業では xi が大きい場合と小さい場合の確率 pi は限りなくゼロに近く、xi が中央値に近いほどその確率 pi は 1 に近づくような感じであろう。ベンチャーでは xi が大きい場合と小さい場合の確率 pi が大企業のものよりも桁違いに大きいので、xi のその大きさに自分の人生を賭けて冒険する価値を見出せるのである。

もう一つ言える確かな事実がある。大企業は組織が巨大で安定している反面、事象 Xi の確率である pi を個人レベルの力でコントロールするのは不可能に近い。しかしベンチャーの場合はそれは自分の思い次第で十分に可能である。

ベンチャーを創める前、この意味について深く考察した。多分大きな値をとるであろう事象 Xi が成立する確率 pi は、客観的には限りなくゼロに近いかもしれない。しかしベンチャーの場合、やりようによっては確率 pi を限りなく 1 に近く経営をコントロールできるかもしれない。

たとえほんの少ししか見えないのが現実であったにしても、実現に至る道筋を鮮明に思い描くことができればその確率は限りなく 1 に近づき、大企業では為し得ない自分の可能性を発見できる世界がある。ベンチャーをする意味はそんなところにあるのではないだろうか。

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2005 年 08 月 28 日 : 季節風

2005年を代表する音は"ケツメイシ"なのだろうか。いま彼らが売れに売れている。最近、「そばにいて」や「さくら」を聴いてその情景が描かれたような曲調になるほど心地よさを感じている。「ケツノポリス4」以外の曲では「よる☆かぜ」や「夏の思い出」などもお気に入り。

ネットで調べてみるとケツメイシが結成されたのは8年前。渋谷のクラブで偶然出合ったのがきっかけだった。駆け出しの頃、大物ミュージシャンのライヴのずっと前座で必死に名前を覚えてもらおうと懸命な演奏をしていた。

「ケツメイシのCDいかがですか〜!今ならサインもつけますよ〜!」

「ケツメイシ!?・・・・・・誰?」
「誰もそんなアーティストは知らないよ!!」

その当時、これがもっぱらの周囲の評判だった。

でもそれが今や押しも押されもせぬアーティスト。何故そこまで辿り着くことができたのか?それは彼らのサイトのコラムのメッセージに隠されているような気がした。

(ライヴ終了後)

「お客さんどうでした?」
−メンバーからいつも言われる第一声。

「凄く楽しんでたよ!!」

「ふ〜ん。じゃあ良かった。」

MBAなど経営に関する学問体系が存在するにせよ、ベンチャーを成功に導いてくれる本当に大切なこと。それは難しい理論の範疇を超えたこんなシンプルな感情ではないか。ベンチャー経営に携われば携わるほどそんな思いがつのる今日この頃だ。

  
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