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2005 年 01 月 29 日 : グランドデザイン

いまから 20 年ほど昔の話。IBM は世界一多くのノーベル賞受賞科学者を抱え、コンピューター業界の巨人として君臨していた。IBM ですら、当時「マイコン」と呼ばれていた「パソコン」が、今日のような勢いで、企業や社会の情報システムとして至るところで利用されてゆくその隆盛を全く予測できなかった。

その隙間に大いなるビジネスチャンスを見出した、いまや誰しもが知るところのマイクロソフトやインテル、アップルなどのパソコン関連ハイテクベンチャーは、20 年間で IBM に代わって起業家精神を多いに発揮し、パソコン関連事業を築き上げ、過去の歴史には例が見つけれないほどの猛スピードで急成長を遂げた。IBM と出会う以前、風前の灯火に過ぎなかったマイクロソフト銘柄の時価総額は、いまやIBMのそれを遥かに凌いでいる。

実際のところソフィア・クレイドルでも、インターネット経由で世界に向けて情報発信し、注文を受け付けているシステムは、一台のパソコンに過ぎない。しかし、それは欠かすことのできない存在、社内で唯一の営業マンだ。年中無休、一瞬たりとも休むことなく勤勉にプログラム通り素直に働いてくれている。

今日、世の中の大半の情報はパソコンによってコントロールされる時代となった。最近では、音楽や映像、ゲームといったコンテンツと称されるものまで、インターネット経由でパソコンへネット配信される時代となった。

それくらいに、かつてオモチャといわれたマイコンが、IBM の名が霞むほどに、社会を支えるインフラストラクチャーと成って世の中を席捲している昨今だ。

いまや巨大企業と化した、そんな米国ハイテクベンチャーのような成長曲線を描こうとするならば、10 年、20 年単位でのグランドデザインを構想することがきっと必要なのだろう。

IBM の汎用コンピューター、(現在は HP に吸収合併されている)亡きデジタルイクイップメントのミニコンピューター、サンマイクロシステムズのワークステーションなどの高価なコンピューターで処理されていた大抵の仕事は、今ではずっと安価なパソコンでも十分に可能だ。パソコンは、誰でも手軽で使いやすいコンピューターへと進化している。

値段が安く、高性能、しかも使いやすい。これが近年パソコン業界が爆発的に伸びた最大の理由ではないだろうか。

もともと、パソコンというものはハードウェア的に貧弱なものであった。その弱点をソフトウェアでカバーすべく、数多くの天才プログラマーたちが、貧弱なハードウェアでも利用可能なように、ソフトウェアの根幹である論理、アルゴリズムを考案し実現した。その結果、ハードウェアの進歩の影響があるにしても、パソコンは実用的なモノへとシフトできたのだ。

たとえ 10 年かかろうとも、これと似たような流れで、携帯電話サイズのコンピューターに一種の歴史的なムーブメントを起こしたい。毎日、アントレプレナーシップという志を忘れないようにしてプログラミングに没頭している。

携帯電話のような小さなコンピューターが、将来的にはインターネットサーバーになることもあり得る話だとして、本気でソフトビジネスを展開している会社は、国内では少ない。

パソコンと比べればハードウェア的には桁違いに劣る、携帯電話のようなコンピューターでも、ソフトウェアによって、人間にとって快適に動作するものへと進化するのである。しかも、それはコンピューターよりも、もっと人間の生活に寄り添ってくれる何か新しいデバイス、マシンである。

パソコンのハードウェアも、昔と比べれば格段と進歩している。しかし、現在起こっていることが稚拙なプログラミング技術に基づく、効率の悪いソフトウェアであるならばどうだろう。ハードウェア資源の多くを無駄使いしているような、ソフトウェアが散乱している景色は哀しくないだろうか。

携帯電話では、ハードウェアの制約上、それが許されない。だから、高度なプログラミングテクニックを駆使することで、ハードウェア的に貧弱であったにしても、パソコンを越えるような凄いソフトウェアを創られる可能性を秘めている。

現在、パソコンで為されている仕事が携帯電話でも代替可能になれば、それに必要なコンピューター資源は 1 桁減ることになるだろう。どこにでも手軽に持ち運べる、携帯電話のその特性は、他のものに変え難いメリットだ。