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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : Strategy & Tactics

2006 年 03 月 06 日 : アイディア

インターネットの時代は、何ごとも瞬時に検索できる。「何がイケテルのか?」が簡単に分かってしまう。

客観的に圧倒的 No.1 の地位を確保できるかどうかが、ビジネスをスムーズに展開する上で重要なファクターになる。

それでは、どうすればそれは実現可能となるのか、となってくる。

ソフィア・クレイドルというベンチャービジネスで戦略的な発想というものはこんな感じだった。

NTT ドコモとボーダーフォンの携帯電話向けアプリのプラットフォームはJava、KDDI の携帯電話向けアプリのプラットフォームは BREW である。2 種類のプラットフォームがある。

アプリを使う側も、アプリを提供する側も、プラットフォームは統一された方が良い。言葉にしても、世界中で日本語が使えたとしたらどんなに便利だろうということである。

それ故に、BREW と Java を統合するようなプラットフォーム的なイメージのある会社というのは人々のニーズがあると考えられる。

「BREW」だけ「Java」だけでは、Googleの検索エンジンで検索しても 1 ページ目にランキングされることは難しい。

けれども、「BREW」と「Java」を組み合わせて Google を検索すれば 221 万件中 6 位にランキングされていたりする。ニュースサイトなどを除けば、純粋なソフトウェア開発会社としては第 1 位にランキングされている。

これが意味するところは、Google のユーザーからすれば、「BREW」と「Java」という両方の技術に強い会社はソフィア・クレイドルであるという印象を与えることになるだろう。

「BREW」と「Java」の 2 つのキーワードに加えて、3 つ目のキーワードとして「圧縮」を 加えて Google を検索すると、1ページに表示されるのは全てソフィア・クレイドルの関連ページである。

「BREW」と「Java」の「圧縮」関連ビジネスはソフィア・クレイドルがほぼ独占しているということである。

「BREW」と「Java」というキーワードである程度のポジションを確保すれば、「圧縮」以外にも「GUI」、「開発環境」、「ツール」、「XML」…いろんなキーワードが考えられると思うが、そんなキーワードに事業領域を広げることによって安定的にビジネスを成長させることが可能となるだろう。

これは最初からそうなるように、努力して長い年月をかけて行動し積み重ねてきた結果であり一朝一夕に出来上がるものではない。

ネットビジネスで勝者となるためにはこのような戦略的な発想も重要だと思う。

  

2006 年 03 月 05 日 : System

サラリーマンの頃は、研究開発、システムインテグレーション、プログラミング、製品の企画・開発・販売、マーケティング、セールス、コンサルティング、プロジェクトマネジメント、調査・企画など多種多様な業務を経験した。

起業してからは、これら以外に、経営は当然のこと、自社 Web サイトの構築と運用、経理、資金繰り、貿易、人材採用、事務までもこなした。

高校や大学の同期でも、これだけ多岐に渡る仕事をしたことのある人もいないのではないかと思うほどの多彩さに我ながら感心してしまう。

新たな業務をチャレンジする度に、右も左も分からない状態だから、平日昼間は実務に専念し、休日とか深夜というものは常に新しい仕事のための勉強に当てられたものだった。

それもいまとなっては貴重な体験と言えるかもしれない。

いろんな仕事の中で最も難しいなと個人的に思ったのは、新規のお客様を開拓する"営業"という仕事である。

「経営とは顧客の創造」と P・F・ドラッカー氏は言うが、僕自身も体でそれを学んだように思う。

ボトルネックの理論から、新規開拓の営業が仕組みとして機能するようになればベンチャーは安定する。逆に個人の才能に左右されるようになれば砂上の楼閣のごとく脆いものとなってしまう。

幾度か失敗して、試行錯誤を繰り返しつつ辿り着いた仮説とは、こんな考え方である。

例えば TSUTAYA や Amazon などで思わず購入したものは、気がついたら第 1 位にランキングされる本や CD だったという経験はないだろうか?

多忙を極めると本、CD などをセレクトする時間さえなくなってくる。でも、第 1 位にランキングされているものは当たり外れは少ないし、少なくとも時代のトレンドを探る意味でも価値はあるから、僕は迷わず第 1 位にランキングされているものは買うことにしている。

お客様が何も考えずに買ってくれる状況を創り出せば、個人の営業センスに頼ることもなく難しい新規開拓の営業も自動化される。

その鍵は「第 1 位にランキングされる」というところにある。

第 1 位だから売れる。売れるからトップをキープできる。そして、圧倒的 No.1 の地位がオートマティックに確立される。

それ故に、ベンチャー経営でもっとも重視するのは、創っている商品やサービスが業界で圧倒的 世界 No.1 であるかどうかである。

そうなれないものは躊躇うことなく撤退し、圧倒的 世界 No.1 になれるものに経営資源を集中投下してきた。

具体的には、携帯電話向けアプリを圧縮したり、 C++ というプログラミング言語で開発できるソフトウェアを、創業以来 4 年に渡って研究開発し、製品化し、販売してきている。

携帯ソフト業界に最も詳しい僕たちですら、競合商品と言えるようなものは、ワールドワイドなマーケットにおいてまだ発見できていない。

要するに、マーケットはニッチかもしれないけれども、圧倒的 世界 No.1 なのである。

そんな状況だから、営業マンが不在で、営業、宣伝・広告しなくとも注文は入ってくるシステムが機能するのである。

これは偶然の結果ではなく、最初からそうしようとする強い思いの結果と思っている。

  

2006 年 03 月 03 日 : Project

ネットで調査していたらこんなニュースを発見した。

【決算】アプリックスの 2005 年決算,「ケータイ向け新ソフト基盤に 2 年で 40 億円を投資」

その概要は

「次世代の携帯電話機のソフトウエア基盤となる新フレームワーク『AMF(Aplix middleware framework)』の開発投資額は 2 年間で 40 億円。顧客からの要求が強いため、前倒しで 2006 年中に 30 億円程度を投資する可能性がある」

とのこと。

携帯電話ソフト向けフレームワークに関する僕の事業とも近い話なので、当事者意識を持ってこの記事を読んでみた。

会社が成長すれば、早かれ遅かれこんな局面に立たされることもあるだろう。

記事には、40 億円というお金がどのように投資されるのか記載されていなかったけれど、その使い方次第で 40 億円というお金が如何様にでもゼロから無限大のレンジでダイナミックに変化する。

アプリックスさんはソフトウェア業なので、40 億円は 99 %以上が人件費に使われることになろう。

その人件費はプロジェクトに参画する人の給料として支払われる。肝心なのはどう分配するかということだろう。

ソフトウェアは一度作ってしまえば、複製のコストは事実上ゼロといっても良い。

最初のバージョンをカーネル(核)としてバージョンアップしてゆくものなので、内容や品質といったものを最初から重視しなければならない。

それ如何で、Windows のように世界中で複製されて利用されるものもあれば、何十億円、何百億円の大金を投入しても全く日の目を見ることなくマーケットから消え去るものもある。

実態としては寧ろ後者の製品の方が圧倒的に多い。大半の大規模ソフトウェア開発プロジェクトは失敗に終わる。

それで人々に必ず選ばれるための条件というものを押さえた上での投資戦略が必須になってくる。

ソフトウェアというものは、ほぼ 100 %人の手によって創られるという性質がある。

極端な話、出来上がるソフトウェアとはそれに関わる人々のフィーリングがコンピューター上に投影されて映し出されたものと言えるのかもしれない。

多分、ソフトウェアの世界はプロフェッショナルな領域ほど音楽のようなアートな領域に近い。

だから、このような巨額の投資が伴うソフトウェアの研究開発において、成功するためのポイントとなるのは、プログラミングとそのプロジェクトマネジメントという才能に秀でた人材を揃えることができるかどうかだと思う。

僕だったら 30 億円というお金があれば、1 人 1 億円、世界で通用する、超一流のプロジェクトマネジャーとプログラマー 30 名からなる少数精鋭のドリームチームを結成してプロジェクトを遂行する。

問題は一般の投資家がそういった発想を受け入れるかどうかにある。未公開のオーナー企業であればそんなことも十分に可能である。

  

2006 年 03 月 03 日 : Global standard

昔、高度な数学的理論に興味を持って、それに没頭していた時期があった。

多くは忘却の遥か彼方にあるけれど、最初に面白いなと思ったのが、「座標変換」という空間の見方に対する概念である。

3 次元空間であれば、3 つの座標軸で空間を眺めることができる。

でも、その 3 つの座標軸の選び方は無限にあり、その選択によって空間の概観が全く違って見えてくるのだ。

対象となる問題に応じて、適切な座標軸を設定することにより、その解は驚くほどエレガントに美しく展開されてゆく。

その時思ったのは、数学で大切なのは無数に選択しうるものの中から、状況に応じて、全体を美しく表現しうる根本的な存在を見出すセンスであるということだ。

そんな発想法はいまのビジネスでも随分と役立っている。

長年に渡り大学院博士課程まで数学を学んだだけの甲斐もあったと言えるだろうか。

ビジネスの空間においても、業界毎、企業毎 … というように、それぞれに考えやポリシーがあって空間を表現するための無数の基軸があると思う。

数学的な発想から、会社の命運は空間の基軸の選び方によって定まると考えている。

僕には、ソフィア・クレイドルで創造されたモノを世界中に広めたいという強い意志がある。

このビジネスを創めた時から「世界」しか眼中にない。

そんな空間をシンプルにエレガントに創り出すための座標軸は何か?という問題意識を大切にしている。

ヒントは、「志」の根源にある「世界」という点にありそうな気がした。

「世界」に広めるには、世界で全てに共通して言えるということが絶対に押さえるべき必須のポイントになると考えた。

ベンチャーだから、最初はニッチだけれども、将来的には爆発的にスケールアップして成長しうる、新しい空間を見出して、その空間を考え抜いて選んだ座標軸で眺めるのである。

着眼点はコンピューターの小型化のトレンドとプログラミングというプロセスへの業界の安易な取り組み方にあった。

コンピューターの歴史を紐解けば、小型化に向かって時が流れている事実は簡単に発見できる。

コンピューターが生まれた初期の頃、ハードウェア資源の貴重さから、それをソフトウェアでカバーすべく、いろんなプログラミングテクニックやアルゴリズムといったものが考案された。

多くのプログラマーはそんな創造的な仕事に寝食を忘れて取り組んでいた。

けれども、いまでは PC の性能が高機能になり、プログラミングテクニックを駆使しなくとも、簡単にプログラミングができるようになった。

結果的に、プログラミングという仕事は創造性が全く要求されないという認識が広まり、本格的なプログラマーという職種を目指す人が激減しているように思う。

プログラミングという仕事の楽しさは、「サイズ」が小さくて、「スピード」が速く、人々のフィーリングにあった「ユーザーインターフェース」を持つソフトウェアをエレガントに表現するところにあると僕は考えている。

ソフトウェアは小さければ小さいほど良いし、速ければ速いほど良い。ハードウェア資源がそれだけ少なくて済むからである。使い易さについても同じくである。

これは世界共通のグローバルスタンダードなコンセプトだと思う。

現状のソフトウェア業界を見ていると、そんな観点から究極の仕事を目指している企業はほんの一握りの存在でしかないと思う。

安易に妥協して目先のお金を追い求めて東奔西走しているのが現実の姿ではないだろうか。

だからこそ、ベンチャーはそんなニッチに将来に夢と希望を抱いて全てを賭けるだけのチャンスを見出せるのだ。

携帯電話がネットに接続され、インターネットの恩恵をどこにいても手軽に享受される時代となった。

この先の流れをどのように読み取るかが、IT 業界に身を置く経営者としてのセンスが試されるところだろう。

今後十数年の間に、携帯電話以外にもいろんな機器がネットに接続されてゆくと思う。

その時に、接続される機器に組み込まれるコンピューターとはどんな仕様のものとなっているだろうか?という問題意識が何よりも大切だろう。

エコロジーの時代だから、ハードウェア資源が小さくて済めば済むほど、それは世界中の人々から喜ばれるはずである。

そんな風にこの空間を眺めれば、「スピード」と「サイズ」は絶対に外せない基軸となり得る。

当然、人々のフィーリングにマッチした「ユーザーインターフェース」も欠かせない。

「スピード」、「サイズ」、「ユーザーインターフェース」という、グローバルスタンダードとも言える 3 つの座標軸から構成される空間から、その世界で No.1 を目指している企業は例外的な存在といえるかもしれない。

けれども、こんな観点からこの業界を眺めて事業を推進する姿勢に飛躍に向けたチャンスが隠されていると思う。

  

2006 年 03 月 02 日 : 数学からの発想 II

[問題]

  円周率 π = 3.14 として、半径 10 センチメートルである円の面積を求めなさい。

勿論、解答は『314 平方センチメートル』である。小学生でも簡単に解ける問題だ。

何故なら、半径 r の円の面積 S は以下の式で求めることができるからである。

   S = π × r × r

極めて単純な公式である。

けれども、何故 S = π × r × r なの ?と問われた時、どれくらいの方が正しく答えれるだろうか?

高度な数学的な理論が要求されるので、ほとんどの方は証明できないと思う。

肝心なポイントは、この公式を証明するところにあるんじゃなくて、こういった公式の存在そのものの有り難さにあるのだ。

大学レベルの数学的な知識なくしても、単純に公式にパラメーターを当てはめるだけで小学生でも簡単に問題が解けてしまうという事実である。

小学生でも円の面積が計算できるように、ソフトウェアの世界でも、将来的にはそういった公式や定理のようなものの積み重ねによって、誰でも簡単にソフトウェアが開発できる時代がやってくると考えている。

いま、僕たちはそんなインフラを数学的なアプローチで構築している真っ最中である。

  

2006 年 03 月 02 日 : 数学からの発想 I

コンピューターの理論そのものが 2 進数の数学ということもあって、研究開発で最も大切にしているのは数学的なアプローチ。

いま、この日記をインプットしている正確な住所は、『日本国京都府京都市左京区田中関田町 2 番地 7』である。

話を簡単にするため、高さを無視し、2 次元の世界で考えるならば、2 次元平面上の全てのポイントは、その平面の基本的な 2 つの要素の組み合わせで表現できる。例えば、緯度と経度の組み合わせによって表すことができる。

『日本国京都府京都市左京区田中関田町 2 番地 7』であれば、( 北緯:35.01.42.56、 東経:135.46.37.85 )である。

人は日本語で記述された住所の方が分かり易いが、正確さやシンプルさ、機械的な処理からは、緯度と経度の組み合わせによる数字の表現の方が圧倒的に優れている。

コンピューターの世界では、『日本国京都府京都市左京区田中関田町 2 番地 7』を、(N35.01.42.56, E135.46.37.85)という無味乾燥な数字に置き換えて処理がなされるのだ。

その方がスペースも少なくて済むし、機械的な処理をするプログラムも開発しやすい。

簡単な例で言えば、『3.141592653589793238462643383279…』という、延々と意味不明な数字が並ぶ『円周率』を単に『π』と置き換えることによって数式が断然見やすくなるのと同じ感覚である。

これは全然高度な数学的な理論じゃなくて、全く当たり前の基本的な概念に過ぎないけれども、とても大切な原理原則だと思う。

複雑なものを基本的な要素に分解し、それにマッピングするのである。

携帯電話向けソフト開発の場合であれば、"サイズ"、"スピード"、"ユーザーインターフェース"という 3 つのベクトルで構成される座標軸からものごとを洞察するスタイル。

僕たちの仕事の大半はこのような原理原則を繰り返し適用しながら進められている。

  

2006 年 03 月 02 日 : Atomic energy

小さな原子レベルの話ではあるが、2 つの原子核が融合し、新しい原子核が生まれる、核融合の時に放たれるエネルギーは巨大である。

逆説的だけれど、本当に衝撃的なものって実際のところ原子のような矮小な世界にあるのではないか。そんな想いを抱いて研究開発事業を展開している。

お客様の声をよく聴いてニーズを見出して、商品やサービスを開発し販売せよと言われる。

確かにそうすれば、そのお客様や同じようなニーズをもった人々にその商品は売れるかもしれない。

でも時を超えて万人に選ばれるものって、そんな行動パターンで生まれるのだろうかという疑問もある。

例え今風のトレンドにのって流行っている曲にしても、数百年後の世界では跡形もなく消え去っているのが大半ではないだろうか。けれどもモーツァルトの曲はいまもなお人々に愛されている。

流行っている曲もずっと愛され続けられるのってのもある。だから可能性はゼロではない。

そこで考察すべきなのは、モーツァルトは具体的な人々のニーズに従って妥協しつつ曲を作ったのだろうかという空想である。

僕は、モーツァルトの曲は、人間という生き物の心に共通する本質にシンクロして創られたのではないだろうかと思っている。

具体的なだれそれのニーズじゃなくて人間そのものが求めるものを創造したということである。

だから数百年の時が経過しても世界中の人々に親しまれているのではないか。

僕たちもそんなスタンスでいろんなコンセプトを構想しインプリメントしていきたい。

今のところ、まだ人間の本質を捉えたプロダクトやサービスを創造するという域には達していない。けれどもコンピューターというもののエッセンスを大切にして研究開発を推進している。

具体的には、コンピューターは 2 進数の数学で動作していると抽象的に考えてよい。

ただ数学の世界と異なるのは、人にとって時間は有限でありコンピューターを構成する部品の大きさも有限であるという現実だ。

人間の歴史は既知の境界線を未知の領域へと拡大してきたと言っても良い。

そんな時代の流れに僕たちも乗ることができれば、ベンチャーと言えどもきっと成功するだろう。

そういった発想から、コンピューターをコントロールするソフトウェアの世界で、スピードやサイズといった制約を革新するような事業は、いつの時代であろうと何処においても必ず人々に必要とされるだろう。

根本的な領域ではあるが、そんな原子レベルの世界にこそ秘められた偉大なパワーがあるんだと信じている。

  
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