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Sophia Cradle IncorporatedPresident Blog : Sensibility

2006 年 03 月 30 日 : 綴れ織り

絶え間なく意識するのは未来にひろがる雄大な空間のイメージ。

想像したとおりに事が運ぶと良いのだけど、これが意外と難しい。

アタマの中でイメージしていることは言葉や絵やリズムで 100 % 再現するのは不可能に近く、行動を共にするスタッフに完全に伝えることができなくて歯痒い時もある。

でも問題意識があるかないかで結果も違ってくると思う。

電話にでることもなく、外出して人に会うこともない。来客のアポイントメントも滅多に受けない。

僕にとって、いまはそんな時期なのだ。

できるだけ独りになって自分の魂と向き合い、世の中で種種雑多に起こる出来事の本質を捉えることがいまの僕の課題である。

とりわけ、インターネットをどのようにドライブするかが関心の的である。

創業して 5 年目ともなると、振り返ればこれまでに作成した Web のページの量に達成感はあるが、質という面で改善の余地がまだまだ充分ある。人の心や美意識にかかわる何かを補強したい。

極論を言えば、理想と現実とのギャップを如何にして埋めるかだけで忙殺されている毎日だ。

段々と分かってきたのは、僕がプロデュースしようとしているビジネスは Web をメディアとして、お客様と僕たちの心と心が紡ぎだすタペストリーのようなものなんだということである。

肝心なのは、出来上がったタペストリーの美しさにあると考えている。

自分たちと見知らぬ誰かと奏でるハーモニーとも言える。客観的には偶然の産物と思われるかもしれないが、この上なく調和がとれて至上のものを意図して創り上げたい。

妥協することなく自分たちの主張を情報発信すれば、世界にいると言われる 64 億人の誰かにはきっと届くに違いない。

最高のお客様はどことなく僕に似た人。だから自分の信じるものについての情報発信が大切になってくると思う。

友達の友達を辿れば 6 ステップで世界中の人々に繋がるという。だから最初から全ての人々を対象にする必要はない。自分自身が最大の顧客であるとして行動するのもきっと間違いではない。

Winny 事件を発端として、ネットに発信した情報は永久に物理的に消去することのできない事実が常識となりつつある。

今は理解されなかったりしても…。

間断なく永遠に続く未来の広大な空間で何が起こるのか?

それは誰も単純明快に決して断言し得ない世界でもある。

インターネットというものは時空を超えて、人と人を繋ぐ役割を担うという認識が新たな発想を導いてくれる。

お金は使えば消滅してしまうが、情報は使われれば使われるほど、そして他の情報と重層的につづれおりを成して美しく洗練される永遠の性質を帯びている。

たぶん、僕が目指している世界というものはそんな方向に進んでいる。

  

2006 年 03 月 28 日 : 時は流れて

質量をもつ物質を、細胞→分子→原子→ … と分解してゆくと、確かな存在は確認されていないのだけれど、6 つのクオークと 6 つのレプトンと言われる素粒子に辿り着くらしい。

この世界に存在する、数え切れぬほどのさまざまな物質とは対照的に、極めて限定され共通する基本要素から宇宙は構成されているということである。

もし仮に全ての物質に宇宙を形作っている 6 つのクオークと 6 つのレプトンが備わっているとするのならば、ひょっとすると僕たちは何にでもなれる可能性を秘めているのかもしれない。

何が自分を自分たらしめているのかという考察も面白い。

僕のアタマの中に描かれるイメージというのは、宇宙が時空であるとするなら、たまたまそんな場に置かれたから自分というものが存在するという考え方である。

すなわち、周囲の環境が僕そのものを創っているのではないかという仮説である。

それ故に、人にとっては環境というものが全てのようにも思えてくるのだ。

とりわけ興味深いのは、人には意志というものがあり、どういった環境に自分の身をさらすのかを選択できる点である。

ベンチャーを起業すれば、大きな組織では想像することさえ叶わない自由を手に入れることができる。

あらゆる人生における岐路を他者に頼らずに自らの意志で決断し選択し行動するのが起業家の宿命であり、唯一最大のメリットであると僕は信じている。

宇宙における物質の原理から発想すれば、環境によって僕たちは何にでも変われる。

ベンチャーを経営していて常々思うのは、短期的な結論を求めようとする誘惑が余りにも多いという事実である。

宇宙とは永遠の時間軸上に展開される時空であるという認識が大切であると思う。時が流れても、なおも一層何か光る存在であるためのはどのような決断が最適なのかロングレンジに渡って展望せねばならない。

*「往古来今これ宙という、天地四方上下これ宇という」(淮南子)

  

2006 年 03 月 27 日 : Newtype

『機動戦士ガンダム』が放映されていたのは、1979 年から 1980 年。

かなり昔の出来事だが、今もなおその輝きは色褪せず逆に初めて知る人には新鮮な印象さえ与えるロングセラーになっている。

人をそんな風に『機動戦士ガンダム』に釘付けにさせるものは何なのだろうか?

初めて観てから四半世紀の歳月を経た今も、鮮明に記憶に残っているのは "ニュータイプ(Newtype)" というキーワードである。

『機動戦士ガンダム』では、独自の宇宙全体に及ぶ世界観を"宇宙世紀(Universal Century:U.C.)"という言葉に込めて表現していた。

物語の設定では、人類が"地球"という狭い領域から、"宇宙"という計り知れないほど広大な領域へと生活圏を拡大した時に"変革"が起こるということだった。

古いスタイルから新しいスタイルへと変革した人類のことを指して"ニュータイプ"と定義した。

"ニュータイプ"の特長とは、動物が本来持っている直感(感性)というものに磨きが一層かかり、遥か彼方の遠く離れていても、時空を超えてテレパシーのようなものでお互いに認識し理解しえることである。

「何も言葉を交わさなくても瞬時に理解しあえる」という才能に人々はきっと憧れを感じるんじゃないだろうか。そして、その能力をどうやって身に着けるかということに空想を馳せてみたりする。

インターネットを駆使するビジネスでは、直接会って話をする訳でもないので、果ては地球の裏側にまで遠くにいるお客様の心を"ニュータイプ"の如く理解できる才能というものが今、求められている。

『機動戦士ガンダム』では、"地球"から"宇宙"へと旅立つことで、それまでは眠ったままだった頭脳の一部が活性化されることで、"ニュータイプ"は生まれるということだった。

それは架空の話ではあるけれど、現実の世界では人々の頭脳はほんの数%しか使われていないらしい。残りの 90 %以上の頭脳は眠ったままである。どうやってそれらを覚醒させるかであるが、その決め手は環境であることだけは確かなような気がする。

* 中国の古典「淮南子」(紀元前2世紀)によれば、「往古来今これ宙という、天地四方上下これ宇という」ということである。「宇宙」の「宇」は空間、「宙」は時間を意味し、「宇宙」=「時空」ということになる。

** 「世界」の場合、「世」は過去、現在、未来の「時間」を意味し、「界」は東西南北上下の「空間」を意味する、仏教の言葉であるという。「世界」も「時空」である。

*** 語源を辿れば、「宇宙」や「世界」というものに対する認識も大きく変化するから不思議である。紀元前の時代に、時空という概念が世界に先駆けて東洋の地に既に存在していたことはとても興味深く、僕たち東洋の人たちが大切にすべき思想ではないだろうか。

  

2006 年 03 月 25 日 : Collaboration

人の DNA (遺伝子) には、人類の過去、現在、未来が記されているという。

けれど、ほとんどの情報は休眠状態のままである。

人類の進歩や発展と言えるものが、それらの情報のいくつかの覚醒によるものであるとすれば、ひょっとすると僕たちはそんな観点から過ぎ去りし人たちと共に社会貢献ができるのかもしれない。

純粋には、ただひたすら個人的に好きなこと、得意なことをしているにも関わらず、人の役に立っているとすればそれは素敵なことだね、と思う。

心を感動や感激に導いてくれる過去の出来事が、自分の中に眠っている才能と言えるものを呼び覚ましてくれる。言い換えれば、ある DNA の情報が ON になる。

もし仮にその事実が人類の歴史が創まって以来のことだとするなら、これほど喜ばしいことも無いのではと思う。

それはどういうことかと感覚的に言えば、直接会えないにも関わらず、何百年、何千年も前に存在した人たちと対話した結果、生まれたものが、人類の DNA にも刻まれて、生命が続く限り永遠なる情報として残るということである。

生物の物理的な命は有限かもしれないけれども、DNA と呼ばれるものには何か永遠の生命があるかのようだ。

過去の出来事は DNA によって現代に伝播され、その空間で過去の人たちとコラボレーションがなされて、DNA の情報は進化し未来に伝わってゆく。

願わくば、人そのものが書き記されていると言われる DNA に何らかの情報を自分の生きた証として残したい。その鍵は過去に生きた偉人たちとの対話にありそうな気がする。

* collaboration : when you work together with another person or group to achieve something, especially in science or art

  

2006 年 03 月 25 日 : Inspired

あまりも小さくて肉眼で確認することは叶わない。けれども、人の DNA (遺伝子) は、A(アデニン)、G(グアニン)、C(シトシン)、T(チミン)というたった 4 文字のアルファベット、約 10 億文字で記述される。その遺伝子を解読することで、その人の過去、現在、未来も分かるらしい。

とりわけ興味深いのは、地球上の全ての生命も DNA を持ち、ほとんどの情報が共通するという点である。まして、人と人とでは、その違いを認識するのさえ困難なほどではないかとすら思えてくる。

そこで疑問が浮かぶ。

人が生涯に渡ってアウトプットするものの量と質における顕著な差である。その人をプログラミングしているはずの DNA がほとんど同じなのに、結果が甚だしく異なるのは明らかに矛盾している。

それを生じせしめる正体は一体何なのか、ということが分かれば、明るい将来を展望できるかもしれない。

DNA に関する書籍を読んでいて面白いなと思ったのは、10 億文字の遺伝子情報は「ブリタニカ百科事典」であれば 10 セット分にも相当するらしいけれど、ほとんどの情報はスイッチが OFF になっているらしい。

要するに貴重な情報の大半が眠ったままであるらしいのだ。

ポイントは、眠ったものをどうやって呼び起こすかというあたりに絞られるようにも思える。

"inspired"という言葉がある。この英単語はまさしくそれを表現しているかのようだ。

経営、音楽、絵画、文章、プログラミング、デザイン、スポーツ、 ………

人はいろんな分野で、さまざまな『超一流』を知ることで、自分の中に眠っていた生まれながらの才能が覚醒するのではないかと僕は思っている。

超一流に触れた瞬間、最初から自分の心の中にあった何かがカタチになり、アイデアとして具現化する。

そんな経験はないだろうか。

素晴らしきものを創造するための大きな手掛かりなると僕は考えているのだけど、そのためには、『超一流』と言えるものを感じとれる感性を磨く必要がありそうだ。

* inspired : filled with creative power, full of a spirit that leads to outstanding achievements, produced as if by or with the help of inspiration

  

2006 年 03 月 24 日 : Evolution

今から 30 年余り前の、1975 年 2 月。

ビル・ゲイツとポール・アレンはアルテアという名のマイクロコンピューター用BASICを完成させた。

アルバカーキという砂漠の地にて、 ポール・アレンはアルテアに

     "print 2 + 2"

というメッセージを送ると、

     "4"

という返答のメッセージがアルテアから返ってきたという。

事実上、今日の「マイクロソフト社」が生まれた瞬間である。

     " 2 + 2 = 4 "

至極当たり前のことで、何ら特別な感情を持ち得ない出来事と思うかもしれない。

     当然の結果じゃない?

     どこが凄いの?

     ちょっとショボイね。

        ………

一般的な見方というのはきっとそんなところに落ち着くであろう。

でもベンチャーというのはそんなにも小さなところから出発し、時と共に進化発展してゆくのが真実の姿である。

どんな偉大なものにしても、創世記の実態というのは全然大したこと無いかのように見える。学ぶべき教訓は、数十年、数百年後にそれがどんな風に大変貌を遂げるのかというビジョンである。

恐らく、質問 "print 2 + 2" に対するアルテアの回答 "4" という数字記号に、ビル・ゲイツとポール・アレンは今日のパソコンの姿を思い浮かべたに違いない。 

目前の現実を直視するよりかは、イマジネーションを全開させてその先に待っているものをビビッドに観ることもベンチャー起業家には欠かせない才能と思う。

* evolution : the gradual change and development of an idea, situation, or object

  

2006 年 03 月 23 日 : Prelude

ハードからソフトへ。

いま僕たちは、旧時代から新時代へと移り変わる狭間に置かれているようだ。

手掛けている事業がソフトウェアだけにより一層増幅されたイメージが脳裏に描かれるのかもしれないが。

もし仮に時代がそんな変革の時期を迎えているとするならば、僕たちのようなベンチャーにとっては千載一遇のチャンスであり、これを逃す手はない。

果たして一体全体どうすれば時代の波を捉えることができるか、である。

ひとつのヒントは「ソフトウェア」というものの性格を辿ることで、時の本流へと合流できそうな予感が微かにある。

ソフトウェアの一種であるプログラムは、人の頭脳の中に想い描かれた様相をアルファベットや数字などの記号で表現したものである。

突き詰めて考えてみれば、極めて精神性の高い仕事であり、人の心を映す鏡のような存在と捉えることもできる。

だから、プログラミングの仕事で感動や感激を呼び起こすほどの立派な成果を挙げようとするのならば、それに携わるスタッフの精神状態こそが全てである、と僕は考えている。

それは、どうすれば理性、知性、感情、感性などの心のコンディションをベストな状態に保てるかということである。

自然界で見かける生命の姿には、伸び伸びと活き活きとした雰囲気が感じ取れる。

そんな生命はどんな宿命を持って生きているのだろうかということを考えてみたりもする。

おそらくは、自分に与えられたミッションを全うすべく、ただ周囲の環境に身を委ねて川が流れるように自然に振舞っているのではないだろうか。

誰しも心のなかに、人それぞれにユニークな夢や希望がきっと潜んでいると思う。

ソフトウェアとは、プログラミングの場合、そんな夢や希望をアルファベットや数字という記号で表現したものである。

心に想い描いたイメージをどれだけ正確に素直に記号で表現しうるかが最大のキーファクターである。思っていることを文字や記号で表現するのは極めて難しいのだけれども、どうすればそれを達成できるかなのだ。

それこそがソフトウェア業で曲りなりにも生きてゆくための条件となる。

自然の世界と対比して得られる発想とは、ソフトウェアという性格故に、個人的に心底信じるものをとことん追究する姿勢だけが道を拓けてくれるという信念である。

それは自分にとって最高傑作といえる何かを創造する上で、前奏曲に相当するものかもしれない。

  
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