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2004 年 11 月 28 日 : 成長曲線を描く

自分のであれ、人のであれ、成長を実感するということ。それは人生における最大の喜びであり、感動ではないだろうか。

何年も大企業で働いた経験があるからこそいえるのだが、ベンチャーほど人間的な成長を日々実感できる場は他に無いだろう。

ベンチャーでは、人は流星型の軌跡を描くように成長してゆく。ソフィア・クレイドルの社員は 20 代前半であり、彼らの成長のスピードに驚かせられると共に、それを楽しんで生きている。彼らからインスパイアされ、教えられることって多々ある。

それはベンチャー経営者にとって、最大の醍醐味かもしれない。

辛いことも多いが、ベンチャーはそれを労ってくれる、感動体験の連続なのだ。浜崎あゆみも歌っていたように、点がいつか線になる。宇宙空間の星のように、数え切れないほど点在するたくさんの小さい感動をつなげてゆけば、それはいつか緩やかな美しい曲線となる。何か感動を経験するたびに、人は自分の中に培ったその曲線に沿って、大きく成長してゆくのかもしれない。

大企業の場合、何年も先のことが見通せる。しかし、ベンチャーでは明日すら見えない。明日は自ら切り拓き、未来を創るのがベンチャーという冒険なのだ。

現代のパソコンの概念を考案した、コンピューター業界で最も尊敬する偉人、アラン・ケイ氏の有名な言葉に、

"The best way to predict the future is to invent it."(未来は自ら創るものである。)

がある。

いつもこの言葉を胸に刻んで、人びとが感動できるような「夢のある未来を創造する」ことを人生最大の目標として生きている。

  

2004 年 11 月 22 日 : 時は流れる

京都を舞台に繰り広げられた、平家物語は次の一節ではじまる。けだし、永遠の真理をついた鋭く美しい箴言だ。

   祇園精舎の鐘の声
   諸行無常の響きあり
   沙羅双樹の花の色
   盛者必衰の理をあらわす
   おごれる人も久しからず
   ただ春の世の夢のごとし
   たけき者も遂には滅びぬ
   偏に風の前の塵に同じ

時の流れと共に何もかもすべてが変化してゆく。21 世紀に入り、変化もさらに加速をつけている。

いまとなっては懐かしい。右肩上がりの高度経済成長期は、ただ単純に決まりきったことを、決められたとおりする。それだけで良かった。創造性や独創性なんてものは一切求められなかった。そんな言葉は存在すらしなかった。

バブル経済の崩壊と共にモノ余りの時代が訪れた。本当に良いもの、価値のあるもの、役に立つもの、それしか人びとから評価されないようになった。いわば、"創る"ということが最も重視されるベンチャーの時代が幕開けしたといってもよい。

優良企業と称されていた大会社が次々と倒産し、吸収合併される。昨日まで誰も知らなかった会社が一夜にして誰もが知るところの存在となる。過去の歴史にたとえるならば、今は戦国時代なのかもしれない。多士済済のベンチャーが群雄割拠する時代となった。

混沌とする経済情勢の中、しばらく混乱が予想されよう。ベンチャーにとっては、運と実力、それ次第で、時流に乗り、這い上がれる。千載一隅のまたとないチャンスなのだ。

「運」というものは与えられるものではなく、自ら掴むものと悟ること。指を口に銜え、消極的にただ待ち構えているだけでは何も起きない。よくて現状維持が積の山。

17 年前、私は外資系コンピューターメーカーに入社した。コンピューターといえばその社名で呼ばれるほど、世界のコンピューター市場そのものを隈なく独占し、席捲していた。

当時、いまを時めく、マイクロソフトインテルシスコシステムズなんていう会社は零細も零細といってよいほど業界では無視できる存在に過ぎなかった。20 年の時を経て、コンピューター業界も大きく変貌を遂げた。

あの頃は人生経験も浅く、中学校で習った、平家物語の「栄枯盛衰」の意味するところなんて全然理解できなかった。世の中の変化というものを経験した今なら、少しはその意味がわかる。

巨大な企業も永遠ではなく、経営幹部らの奢りや傲慢によりあっという間に瓦解する、今日この頃。大企業であればあるほど、入社するなり、抜擢人事で経営幹部は有り得ない。

大企業に入社した場合、自分の命運はその会社の経営幹部に委ねられる。他人に自分の運命を左右されるほどリスクが大きいことはない。入社して数年後、そう思った。

30 歳前後の頃から、起業のチャンスを伺っていた。なかなか実現できずにいた。苛立たしい日々が何年も続いた。39 歳の時、ある日突然、人生において 2 度とないようなビッグチャンスが訪れたのだ。

起業するときに最も重要な要素は一緒に事業を展開するスタッフの人員構成。大企業といえども参入できないような、自分たちの強みを発揮できるニッチなエリアを見出すこと。2 つの条件が完璧に揃った。

早くも 20 代のうちにチャンスを掴む人もいるかもしれない。10 年かけてようやくチャンスにめぐりあえた。それだけにチャンスを大切にし、育てたい。

  
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